9月9日
いつも『しのぶろぐ』を訪問下さり
ありがとうございます。
今月の休日は、今日と明日のみ。
再び、市川海老蔵さんを観に行く。
花道の真横の一番前の席を予約した。
この席は、花道から登場した役者が
必ず一度立ち止まる場所だ。
海老蔵さんとの距離30センチ。
彼が動くたびに、衣装から伽羅(きゃら)
であろうか。何とも言えない気品漂うお香の
かおりがした。
こんなに近くで観るのは初めてだが、
顔の筋肉の動きまではっきり分かる。
まばたき一つも美しい。
花道で長い袴を後ろに蹴るシーンで、袴の先が
私の頭に覆いかぶさった。前が見えんわ。
ツバもかかるが、幸せ。
彼を傍で見ると、目力と全身に神経が
行き届いている動きの迫力に吸い込まれる。
たまに、わざとこけそうになったりと
茶目っ気もある。全米オープンで準優勝した
錦織さんの話題を入れたり、「アナと雪の
女王」の歌を歌ったり、演目を今風に
アレンジしている。
観に来てくれたお客さまを楽しませるプロの
意気込みを感じる。自分の宿命を受け入れ、
なおかつそんな自分を楽しんでいる男の姿は
非常に美しい。
16時半から20時までの長時間があっと
いう間に過ぎた。今回も感銘を受けた。
帰りの電車の中で、ふと手のひらを見ると
金粉がついていた。かすかにお香のかおりが
する。私の頭に覆いかぶさった袴を手で
よけた時についたものであろう。
私は思った。今夜は手を洗わんとこ、と。
電車を降りたらスーパームーンが見えた。
今日は、美しいものをいくつ見たであろう。
感謝である。